温かい室内で物思いにふけるとき
ふと雨のなかに飛び出していって
身体中を洗い流されてみたいと
そんなふうに思うことがある
20歳の夏、大学の広場で
雨に打たれて大声で歌ったことがあった
もう一度、あの日のように、雨にすべてを洗い流されてしまいたいと
そんなふうに思うことがある
今日、会社帰りに、雨に降られた
ぼくのジャケットは汚れてしまった
雨に洗われたいと思いながらも
時を経たぼくは、じつは、雨が汚いことを知っている
20歳の夏、雨に濡れても、ぼくは果てしなくすこやかだったのに
時を経たぼくは、濡れたジャケットの手入れなんかに腐心している
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